【ブロートバウム】
ドイツ仕込み!溶岩窯で焼き上げる上質のパン!
大西 こちらの場所はオーナーの地元で、ご実家も近いとうかがっています。パン職人は、子供の頃から目指されていたんですか?
佐藤 そうですね。実は父親もパン職人で、ここから少し離れた場所に父の店があるんです。そんな父をずっと見てきましたし、親戚にも「ものをつくる」商売をやっている者が多かったので、サラリーマンにはならないだろうとは思っていましたね。そして、私も自分で何かを作り出すといったことは好きでしたから。
大西 パンの職人さんになるために、どのようなお勉強をされて来られましたか?
佐藤 高校を卒業して専門学校へ行きました。パン作りで1年、洋菓子で2年、
合わせて3年間勉強する予定だったんですが、途中でドイツの留学の話をいただいたので、
2年半で学校は離れることになりました。
大西 留学はどれくらいの期間、行っていらしたのですか?
佐藤 2年間ですね。ドイツでは職業訓練制度というものがあるんですが、はじめは職業学校に「見習い」として入るというか、パン屋さんに見習いとして入って、働きながら職業学校に通うという感じです。学校での勉強と本場のパン屋での仕事を交互に繰り返しながら、経験や技術を身に付けていきます。途中に行われる中間試験をクリアし、その後の最終試験をクリアすると「見習い」から「職人」として認められるんです。それから、帰国後に埼玉のパン屋で4年半ほど経験を積んだ後、自分の店を始めることになりました。
大西 あちらの店内に飾ってある賞状が、そのドイツで「パン職人」と認知されたときのものなんですね。お店を始める際は、どのようなお店づくりをしていこうと考えていらっしゃいました?
佐藤 実はこの地域にはパン屋が少ないので、地域に愛されるお店にしていきたいと考えていました。勉強してきたドイツパンも、いきなりだと馴染みにくそうですが、それも合わせて受け入れてもらえるお店を作っていこうと思いました。
大西 現状、店内にはお客様もいっぱいで、地域に受け入れられているかどうかは言うまでもないですね(笑)。お店の入り口にも表記されていますが「溶岩窯」を使ってのパンづくりにはどのような特徴が?
佐藤 この溶岩窯を使ったパン屋さん、最近は増えてきているんですよ。通常の石の窯よりも遠赤外線が多く出ていて、中から早く焼けるんです。短時間で焼けるので、パンの中の水分が多く残って、もっちり、しっとりした食感のパンが焼けるんです。ドイツパンやフランスパンのほかに食パンなどによく特徴が表れて、おいしく出来上がります。ぜひ、大西さんもうちのフランスパンを食べてみてください。
大西 ありがとうございます!では、お言葉に甘えまして…あ!本当にもっちりしていますね!
フランスパンの中には硬くて噛み切れないものもありますが、これはすっごい柔らかいですね。
佐藤 そうですね、これだけできあがりもソフトなので、ご年配のお客様にもよくお求めいただいています。
大西 こちらのフランスパンもたいへんおいしくいただきましたが、このお店の人気のパンはどれですか?
佐藤 定番メニューではグルメコロッケやB.Bピザといったお惣菜系の調理パンがよく売れています。こういった調理パンは、やっぱりできたてがおいしいので、時期にもよりますが、コロッケやピザなどは一日5~6回は焼きます。トップシーズンは8~10回なので常に焼きたてが店頭に並びます。並ぶ時間をチェックして求めいただくのがオススメですね。
大西 将来の夢やお店の今後の展開についてはどのようにお考えですか?
佐藤 自分の後を安心して任せられるようなパン職人を育てたいですね。
大西 なるほど…でも、オーナーもまだお若いですよね。もう引退するときのことをお考えですか?(笑)
佐藤 いえいえ(笑)、若いうちにもっと外の世界を見てまわって、勉強したり吸収したいと思っているんです。
大西 失礼しました。貪欲な学習意欲に頭が下がります…(笑)。最後になりますが、この記事を読まれる読者の方へ向けてのメッセージをいただけますか。
佐藤 一人でも多くのお客さまに食べてもらって、「おいしい」といってもらえるパンをどんどん作っていきたいと思います。今、メニューは季節限定のものも合わせると50種類以上あります。これからも新しいメニューをいろいろ考えていきますので、「明日もまた来よう」と思っていただけるようなお店にしていきたいですね。